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『じゃぁ…葉月さんが…早く運命の人に出会えるように応援する飲み会、今週末にでもやろうか。』
『課長…。』
愛実と柳井さんのデスクに、半分ずつまたがるようにセッティングされた位置に席がある課長。
私たち部下4人は、一斉に課長の顔を見た。
課長 布施 武史(フセ タケシ)。
結婚15年目で42歳。家族構成は奥様、娘、息子、犬1匹。
私が異動して来る1年前に、新任課長としてやってきた人。
役職者としてはまだ若いのに、仕事の手腕は素晴らしく、さらに温厚な性格も相俟って、部下からの人気と信頼を着任早々に得てしまったらしい。
そんな模範的な課長なんだけど…仕事モードでないときは、こんな茶目っ気たっぷりな一面を見せてくれる。
『課長…。それは、とっても嬉しいんですけど。でも、あの…課長や柳井さんは家で待つ奥様や家族がいるし、愛実はデートあるだろうし。皆さん、お忙しいかと…。』
私は課長の提案に感謝しつつ、やんわりと止める方向へ持っていく。
課長…。嬉しいけど…こんな理由じゃぁ飲み会なんて出来ないよ。こんな情けない理由でなんて。
『葉月~?オレは構わないわけ?』
自分だけ名前が挙がらなかったことに、少し拗ねているらしい藤木さんが口を尖らせる。
『あ…。そういうつもりじゃぁ…。』
私が肩をすくめると、
『まぁ、オレは飲み会…いいよ。実際、予定ないしなぁ。ハハッ。』
“本気で怒ってるわけじゃないよ”と言うかのように、彼は意地悪に笑った。
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