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『僕も大丈夫ですよ。嫁さんの方が飲み会多い会社だし、こういうことは珍しくないんで。』
柳井さんが私に微笑む。
『でも…私の個人的なことだし…。課長も皆さんも気を遣わないでいいですよぉ。』
柳井さんと課長を交互に見ながら、困った顔を向けると、今度はワントーン高い声がとなりから響く。
『じゃぁ決定。私、予約入れまぁす。』
愛実が左手を勢いよく挙げた。
『愛実まで…。ホントにいいんだってばぁ~。落ち込み度20パーセントだって言ったじゃん。』
具体的な数字を再度用いて説得させる。
『それでも、別れっていうのは、自分が思ってる以上にダメージ大きいんだから。ね?』
なぜだか…。愛実の言葉が私の心にジワリと染みた。
今まで考えたことなかったけど。愛実の言うように、私…自分でも気付かないうちにダメージ受けてたのかもしれない。
自分から別れを切り出しといて、何様?って思われるかもしれないけれど…。
『ってことで、金曜日に決まりだね。じゃぁ小川さん、悪いけど予約お願いね~。』
『はい、課長。』
私は、いい職場に恵まれた。いい仲間に恵まれた。
私のこんなちっぽけなプライベートのために、みんなは大切なプライベートの時間を提供してくれるなんて。
『すみません…。ありがとうございます。』
私はこれ以上にないくらいに、体を小さく丸めて恐縮した。
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