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「……ごめんなさい」
キノが俯きながら言う。
その涙声を聞いて、ぼくは気付く。
キノを、目の前の女の子を、悲しませてはいけない、と。
――それが、ヒーローなのだ。
どんな事であっても。
どんな事があっても。
キノを守り抜く事、それこそヒーローとしての仕事であり、使命ではないのか。
ならば、これ以上キノに悲しい思いをさせるのはいけない。
形だけの、名前だけの「ヒーロー」じゃいけない。
そこで、ぼくはこう考えた。
気丈に振る舞って、笑顔で送り出す事が、キノにとっても、ぼくにとっても、一番良い事なんだと。
泣いていたら、ただ不安を煽るだけなのだと――。
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