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あれは、うだるほど暑い夏の午後のことだった。
記録的猛暑に耐え兼ねたジュリア・アーサーは、友人と共に新しくオープンしたアイスクリーム屋に立ち寄った。
瞬く間に溶けるアイスクリームを頬張りながら、いつもと変わらない穏やかな時間を過ごしていた。
女子大生が話す内容なんて数えきれない。
ずいぶん長いことおしゃべりに花を咲かせ、友人たちと別れた時には、すでに空が赤く染まっていた。
一人、のんびり家路に着く。
彼女は自宅前まで来るとドアを見て、不思議に思った。
表が閉まっていた。
いや、普通の家なら当たり前だろう。
しかし、彼女の家は喫茶店だ。
閉店日でもなければ、営業中のこの時間に閉まっていることなど、いつもならあり得ない。
しかし、事実店のカーテンは締まり、ドアには『close』の文字。
念のためドアノブも回してみたが開かない。
疑問に思いながらも、彼女は裏口に回った。
こちらはいつも通り鍵が開いている。
裏口から厨房を通り、暖簾を分けて店へ出る。
いつも通り『ただいま』と言おうとした彼女は、その言葉を飲んだ。
・・・・・・・・・・・・
いや、飲み込まざるを得なかった。
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