リベッタ村

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「ほら、ママ!ご飯にしよう!」 彼女が明るく言うと、ミラは少し複雑な表情をしながらも、娘の言葉にうなずいた。 「そうね。もうできるから、そこのお皿取ってもらえる?」 「はーい」 ***** カフェの朝は早い。 七時の開店に間に合わせるため、ジュリアは掃除を素早く行う。 オープンしてから九時までは、出勤前の人々が慌ただしく過ぎ去っていく。 少し余裕ができる間の僅かな時間に、ランチのための準備を行う。 ――そして、十二時。ランチのピークを迎える。 ランチタイムは戦場だ。 席は二十席ほどしかないため、如何に早く商品を提供し、如何に効率良く店を回すか。 経営もギリギリなため、慣れたスタッフ四人で営業する。 そして、そのピークが過ぎた頃……彼が現れる。 ドアのベルが来店を告げた。 「いらっしゃいませ。少佐」 「こんにちは、ジュリアさん」 海軍の制服に身を包んだ金髪の男性が、にこやかに微笑む。 彼が、カルニカ島を平和な街にした立役者、クリス・ルーアン少佐だ。
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