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『仕事終わりでカラオケ行きましょうよ。』
突然の誘い。入ってまだ1ヶ月くらいしかたってない後輩からだ。職場では仲良くなり始めて最近では笑顔が増えてきた。
『別にいいよ。』
特に断る理由もないし、家に帰ったところで何の予定もない。
何も変わらない日常の一部として時間は過ぎていく。
君の歌声は照れくさそうに、でも心地よく聞き入ることができた。
俺の方はというとカラオケは好きだが、どうも上手く歌えるわけではなくカラオケに行ったからと言っても「武器」になるような代物ではない。
男としては会計はちゃんと持ち、家まで送ってるのがマナーだと思い、君を車にのせて走り出した。
車内でもとりとめのない話が溢れていただけだった。
時間は22時を回り、君の家が近づいてきた。
『もうそろそろ終わりか…。』
ふとそんなことを考えていた自分に驚いた。
変わらない日常の出来事のはずが心地よい時間になっていた。
そして、その時間が終わることを寂しく感じていることに…。
『海が近いんだね。海に行かない?』
突然の言葉。なかば無意識の提案だった。
君は驚いた表情を俺に向けた。
いきなりの提案だから誰でも身構えてしまうのはしょうがない。
『ごめん、もう遅いから帰ろうか。』
その場の心地よい空気が壊れ、我に帰った俺はすぐに訂正して帰路に戻ろうとした…。
『海、、、行きましょ。』
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