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「まあ、穴場なんですね」
「そうですよ。地元の人でも、あまり知られてないって聞いたのに。毎年、すっごい数の蛍が見れるんですよ」
「そうなんだ。ラッキーだわ」
「ラッキーですよ!」
「ふふふ。お二人でいらしたの?」
「あ、後ろのちっこいのは気にしないでくださいね。あなたこそお一人ですか?」
「いえ、友達と一緒に来たんだけど、カメラを忘れたって、取りに帰っちゃったの」
すっかり弾みだした加藤と美女の会話を聞きながら、さっぱり面白くなくなった直久は、完全に加藤に背を向け夜空を見上げる。
満天の星空も、今はなんの癒し効果もありゃしない。完全に本来の目的を忘れた加藤を放置することにした直久は、しゃがみ込んで白い石を探すと、道路に、
『加藤のばか』
『あほ』
『ずるい』
『せこい』
『どすけべ』
『オレは天才』
などと、次々に思いの丈をぶつけ始めた。
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