一章 イケメンはつらいよ

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 しかも、良く考えたら、明日も朝から練習だ。なんでこんな男の、ナンパに付き合わされているのだろう。 (あ、ほんと、ヤバイ。トイレいきてー!)  祈るように、もう一度、加藤の袖を引っ張る。気づいたのは、彼女の方だった。 「お友達、すごく帰りたそうですよ」  ナイスアシストだ。なんていい人なんだろう、と目を潤ませて見上げると、彼女はにっこりと微笑み返してくれた。 「いいのいいの、こんなの気にしないで」 「もう帰ろう!」  直久は、今がチャンスとばかりに口をはさんだ。 「帰ろう! 今すぐ帰ろう! さあ帰ろう!」  そう言いながら、ぐいぐいと加藤の腕を引っ張り、来た道を戻り始める。
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