二章 腹黒い友人

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 言ったあとで、直久は少しだけ後悔した。  加藤に向けるべきものではないとは分かってるのに、なんとなく苛立ちが態度に出てしまう。なんで素直に応援してやれないのだろう。  加藤と昨日の彼女がうまくいけば、めでたい事じゃないか。  嫉妬?  ――違う。  そうやって自分の子供な部分を、冷静に指摘する大人な自分もいる。なんだか、胸の中がもやもやした。 「わかった。お前、さては悔しいんだろう!? 俺にあんな可愛い娘を先越されて」 「先越されて、って言うほどのこと、何もしてないじゃん、カトちゃん」 「阿呆! これからするんじゃい、愚か者!」 「ハイハイ。ガンバッテ」 「うわ、心が全然こもって無い!」 「込めてないもーん」 「お前、最近、可愛くないぞ!」  そうかもしれない。  直久は、心の中で、加藤に返事をした。そう、直久は自分の中で良く分からなくなってしまっていた。  ある日を境に、直久の心の中で、何度も何度も繰り返される自問自答。
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