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だって、しょうがないじゃないか。
直久は、常々そう思っていた。
神様だって、イケメンの上、運動神経抜群な自分に、これ以上の才能を与えることを躊躇ったのだろう。
自分が無能(タダビト)なのは、仕方のないことなのだ。そう納得して、十六年も生きてきた。
それでもたまに、本当にふとした瞬間、自分の無力さを恨めしく思うこともある。
もし、自分も、一族の皆のように、霊能力があったなら、まったく別の人生を歩んでいたのだろうか。
毎日忙しく妖怪退治なんぞに勤しみ、悪霊と死闘を繰り広げながら、学校生活を満喫していたのだろうか。
――直久の弟がそうであるように。
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