一章 イケメンはつらいよ

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 次は直久が攻める番だ。直久も、加藤に歩み寄る。ボールを加藤から受け取った直後、着ていたゼッケンの首元を加藤の腕が、ぐいっと引っ張った。 「今晩、イイところに連れてってやる」  耳元で、直久だけに聞こえるように囁く加藤。 「イイとこ?」  直久は、訝しげに加藤の顔を見やったが、加藤はニヤニヤと笑うばかりだった。ろくなことを考えていない時の顔だ。 「あんまり、純真無垢な青少年を悪の道に連れ込まないで下さいよ、加藤大先輩」 「何を言う。うちの部で、俺と同じ匂いがプンプン漂ってくるのは、お前だけだぞ。知らなかったのか?」 「え、そんなにイケメン臭がする?」 「俺と同じくらいには、な」 「じゃあ、しょうがない!」 「だろう?」  
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