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え。
えええええ!
「あ……う……ご、ごめんなさい……」
「いや謝ることじゃねーけどっ」
てゆーかどっちかと言うと口調がいきなり変わったことに驚いているんですけど、私。
とゆーか、先輩、素はこんな感じなのか。そうか。先輩らしくあろうとしてくれていたのかな。私の前で。
どうしよう。
演技には見えない。イヤイヤ誰かにやらされているようには見えないもの、そんなことされたら。あとは先輩が物凄い「役者」で、しばらくしてから何か恐ろしい裏切りが待っているかも知れない可能性だけだ。
うん。いい。それでもいい。こんな風に言ってくれて、照れてくれる、少なくともそう振舞おうとしてくれている間は、私が、誰かのための、何かの駒だとしても。
それを受け容れよう。
それでもいい。
最初で最初の、「恋愛のフリ」。そうだとしても、私みたいな女が、それ以上の何かなんて、望めないことくらい、分かっているんだから。
──ちゃんと覚悟しておけばいい。男の人にしてはキレイなこの顔が、嘲笑に歪んで私を突き飛ばす日が、来るかもしれないってことを。
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