11人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
(しまった!!)
黒影は動けないまま、ナイフが突き刺さると思い、覚悟をした。
が、そんな事はなかった。
「様子を見に来たら…とんでもない現場に出くわしたぞ…」
宇野は声がした方を向いていた、そのためナイフは黒影の寸前で止まっている。
こちらを向いていなくてもわかる凄まじい殺気に怯えながら。
「何?」
声の主は天帝、揺らめく金髪でシャツに制服のズボン、上から白いコートを羽織っている。
以前は『九帝』通称『帝』と呼ばれている組織のリーダーを任されていた。
『帝』は夜の学園における世界にて、治安の維持を行う組織。
その実力は確かなもので、並のチームではまともに戦う事もできない。
だがそれも昔の話。
一人の男によって『帝』の力というものは、弱い方向に再認識された。
天帝も『帝』を脱退して、最近は黒影と接触する事が多くなった。
「黒影…大変だな、お疲れ様」
「待てぇ!!なんだ!?俺の人生がこれで終わるみてぇな言い方は!!」
瞬間、キィィィン!!と音がして室内に浮遊していた物体が落下した。
黒影も床に着地し、宇野からナイフを取り上げる。
「あっぶねー…いやここはお礼が先だな、ありがとう天帝」
最初のコメントを投稿しよう!