序章『覚醒者としての日常』

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(俺のせいだよな…だが謝ってすむような相手じゃなさそうだ) スパッと音がした。 鞭が黒影の頬をかすめた、皮膚が裂けたためたいしたことはなく、出血しただけだ。 「いいか、宇野…今更謝ったってすむとは思わない、だから俺を好きなだけ殴れ、ただ鞭は使うなよ!」 「言ったわね…後悔させてあげましょう!」 しかし、黒影が殴られることはなかった。 それどころか宇野の表情が和らいでいた。 「わかればいいのよ、これからは反省して行動に移しなさい」 (なんだ…この切り替えの早さは、女というものがわからんぞ) それから宇野は再び調理に戻った。 その状況を目の前で見ていた天帝もキョトンとしている。 「おい、黒影終わったのか…?」 「さぁどうだろう…確信は持てないけどとりあえず終わったんじゃないのか?」 「じゃあ黒影ちょっとついてきてくれ」と天帝は宇野に聞こえないような声で言った。 黒影は言われた通りに部屋を出ようとした、が。 「幻夢さん?どこに行かれるんですか…」と宇野の掠れ声。 「えっ!?いや…ただの散歩だよっ?」 「でしたら…すぐに帰ってきてくださいね?」 「7時頃には帰る!!」 慌てて部屋を飛び出した黒影だった。
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