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同日、20時。
黒影は約束をブッチ切っていた、理由は単純。
帰ることが出来ないような事態に遭遇したからだ。
黒影は現在追われている。
それは狭間の手先などではなく、全くもって未知の存在だった。
ちなみに、黒影の携帯の着信履歴は一人の名前で埋め尽くされている。
「畜生、なんでこんな時に追われなきゃなんねーんだ!!百回宇野から電話かかってきてるし!」
「オラオラァ!逃げてばっかじゃオレ様つまんねーぞ?それともビビったか?」
挑発紛いの言葉。
しかしそれに乗せられるほど黒影は短気ではない。
少なくとも今、最適な選択をすることはできる。
「今は建物の中だ、とりあえず広い所に行かないと戦えない」
「逃げんなよ!!」
突然、何かが黒影を噛みつくように迫ってきた。
ガチンと凄まじい音をたてて頭の上をかすめた。
「顎…!?なんだこりゃ!」
「相変わらずの運動神経だよな…いやぁ、むしろ成長してるな」
「っ?お前誰だよ」
「待ってたぜー、その台詞!オレ様は【捕食者】(イーター)こと柳 喰餓(やなぎ くうが)様だ!」
と、かっこよく(?)自己紹介をしたが……。
当然、黒影が知るわけがない。
「誰だよ?」
「本気か…?黒影…!?」
さっきの顎が数を増やして襲ってきた。
右方、左方、上方と逃げ場を潰すように襲いかかる顎。
「チッ!俺はお前なんて知らん!」
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