一章『夜の住人』

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同日、20時。 黒影は約束をブッチ切っていた、理由は単純。 帰ることが出来ないような事態に遭遇したからだ。 黒影は現在追われている。 それは狭間の手先などではなく、全くもって未知の存在だった。 ちなみに、黒影の携帯の着信履歴は一人の名前で埋め尽くされている。 「畜生、なんでこんな時に追われなきゃなんねーんだ!!百回宇野から電話かかってきてるし!」 「オラオラァ!逃げてばっかじゃオレ様つまんねーぞ?それともビビったか?」 挑発紛いの言葉。 しかしそれに乗せられるほど黒影は短気ではない。 少なくとも今、最適な選択をすることはできる。 「今は建物の中だ、とりあえず広い所に行かないと戦えない」 「逃げんなよ!!」 突然、何かが黒影を噛みつくように迫ってきた。 ガチンと凄まじい音をたてて頭の上をかすめた。 「顎…!?なんだこりゃ!」 「相変わらずの運動神経だよな…いやぁ、むしろ成長してるな」 「っ?お前誰だよ」 「待ってたぜー、その台詞!オレ様は【捕食者】(イーター)こと柳 喰餓(やなぎ くうが)様だ!」 と、かっこよく(?)自己紹介をしたが……。 当然、黒影が知るわけがない。 「誰だよ?」 「本気か…?黒影…!?」 さっきの顎が数を増やして襲ってきた。 右方、左方、上方と逃げ場を潰すように襲いかかる顎。 「チッ!俺はお前なんて知らん!」
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