一章『夜の住人』

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黒影は懐から仮面を取りだそうとしたが、相手の顎の方が早い。 ガチンと噛みつくような音と同時に黒影は飛び込んだ。 「やっとやる気になりやがったな、いいぜ、かかって来やがれ!」 三方向から同時に噛みついた顎を、前方に飛び込むことによって回避した黒影は、そのままの勢いで柳に迫る。 すぐに軌道修正した顎が後方から追いかけてきた。 「柳とか言ったか?俺はそこまでやる気じゃないけどな」と言った黒影の顔に仮面が取り付けられた。 【力の支配】、自身に関わるあらゆる『力』を自在にコントロールすることが可能となる能力。 その発動条件は仮面を装着すること。 この能力を使用することで、黒影は人間にはあり得ない動きと、スピードを手に入れる。 直後、後方から迫る顎が天井に打ちつけられた。 その数瞬後、顎を操作している柳自身が大きく吹っ飛んだ。 その原因は黒影だ。 凄まじい速度によって接近に気づけなかった柳が蹴りを入れられた。 「噂に聞くスピードだな、でも、噂通り威力がイマイチだ」 ゆったりと、全くダメージを感じさせずに柳は起き上がる。
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