序章『覚醒者としての日常』

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夜の界の歴史に残る大戦闘から約二週間が過ぎた。 少しずつではあるがその記憶は薄れ、現在はもうじき始まる覇闘祭へと気持ちが向かっていた。 各チームは代表者を決め、予選の準備を始めている。 しかし、それは夜での話。 今は昼休みで、教室は賑やかだ、未だに飽きが見られない格闘ゲームの歓声によって。 「すげぇ!!猶予1F(フレーム)をミスらず確実に…」 「なんで中段が見えるんだ…」 「投げもほとんど通ってないじゃん」 「0F中段を読んで割り込んだぞ!!」 もはや何を言ってるのかわからない。 ゲームに詳しいだけでは追いつかず、格闘ゲームに関する専門用語を覚えてようやく通用する。 このブームは以前より激しさを増した。 その理由として、凶悪的な強さを誇っていた黒影の実力に更に磨きがかかったからである。 扱えるキャラが増え、コンボにもバリエーションが増えており、状況判断が人とは思えないレベルになっていた。 「また黒影の勝ちか、これで15連勝…そろそろ止めないと」 「じゃあ俺が行こう」 名乗り上げたのは鳴神、このクラスでは黒影に次ぐ実力を持つ。 「ふふ、誰で行こうかね」 ほとんど毎日行われている『昼休みの大決戦』が始まろうとしていた。
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