一章『夜の住人』

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それから30分後、天帝と合流した黒影は鬼のような着信を繰り返してきた宇野を適当に流し、晩御飯を済ませてグランドに来ていた。 時間を大幅に無視した黒影が無事に済んだのは、黒影の右のもみあげの頭髪を誰かに引きちぎられたような痕跡を見たからである。 当然それを見た宇野はやった奴を見つけて殺してやるなどと言って暴れていたが、ご飯が美味しいと言って聞かせるとなんとか静まった。 今黒影と天帝がグランドにいるのは覇闘祭に出るためのメンバーを探しているからだ。 覇闘祭は5人以上のチームでの参加となり、現在黒影は天帝と鳴神の三人しかいない。 闇でも怪しく輝く銀髪で跳ね上がったくせ毛を揺らす黒影は、その能力の条件でもあり、夜の界における自分のトレードマークである仮面をつけていた。 一方の天帝は金髪で逆立つ髪の毛をしており、白いジャケット羽織っているためどこにいても目立ってしまう。 そんな二人がグランドにつったっていれば当然、『敵』に囲まれる。 「相変わらず人気だな【力の支配】」 「いや、それはあんただろ【帝】のリーダーだったんだから、どこの誰だって引き抜きたいに決まってる」 【帝】とは表向きでは夜の界において風紀を守るために作られた組織。 誰もがその組織に入れるわけではなく、【帝】の人間は9人だったため九帝と呼ばれていた。 そんな組織のリーダーだったのが、現在黒影の隣にいる天帝である。
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