一章『夜の住人』

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「さて、何用かな?みなさん」 黒影は周囲の様子を伺う。 ざっと10人程度、天帝ならともかく黒影は同時に相手するとなると辛いものがある。 しかし攻撃してくる気配は感じられない。 「勝負がしたいんですよ、【力の支配】貴方とね」と発言したのは白髪のおとなしそうな人物だった。 フードつきのパーカーを着込んだその人物は、どうやらこの集団のリーダー格のようである。 「俺と?なんでまた」 「同じ新入り同士として、ね」 名を挙げたいのかとも黒影は考えたが、すぐにその真意に気づく。 「そうか祭のための準備だな、俺や天帝を自陣に引き込むための・・でもそれを受けると思うか?」 「僕と戦ってみるとわかるはずだ、必ず僕の力を欲すとね」 「面白いこと言うな・・一応名前を聞こうか」 「僕の名前は白星綺羅、まぁ聞いたことなんてないと思うよ」 必要な情報は聞き出せたと、黒影はその場を去ろうとしたが意外にもそれを止めたのは天帝だった。 「いいじゃないか、勝負受けようじゃないか」 「はっ?なぜ!?」 「お前もなまってるんだろ?いい機会じゃないか、白星とやらこちらが勝ったら君は私たちの一員となってもらうが異論はないな?」 予想外の方向に話が転がり驚きを隠せない黒影に対し、白星は目論見通りとでも言うような顔をしていた。 「当然です、では僕が勝った場合はそういうことで。それと【力の支配】との1対1を希望しているのですがいいですか?」 黒影の意志とは無関係に天帝は二つ返事で了承した。 かくして突然戦いは始まるのだった。
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