序章『覚醒者としての日常』

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「今更、文句は言わないけどな…別に無理して飯を作る必要はないからな?」 「まさか…私は作る料理は美味しくない…と?」 また宇野の表情が無くなった、料理の準備中だった為包丁を握っている分、余計に怖い。 「いや、そういう事は言ってないだろ?とにかく包丁を離せ」 黒影が宇野を苦手だと感じている理由は、まさしくこれである。 黒影の発言は全て宇野独自のとらえ方で認識され、このようなネガティブな空気を作り出す。 しかも二人きり、密室というのが、より恐怖感を増す。 「お前が作るご飯は美味しいから安心しろ、とにかく包丁を置け!」 「もう…幻夢さんったら冗談が上手いんだから」 ようやく宇野の手から包丁が離れた、それを確認した黒影は安堵からかため息をついた。 そのまま自分の部屋まで逃げ込み、ゲームセンターに置いてあるようなゲームの筐体の電源を入れた。 ちなみにこの筐体は、学園に申請して部屋に設置する事に成功した。 つまり自分の部屋がゲームセンターと言っても過言ではない。 「幻夢さん?またゲームですか…?そんなに楽しいんですか、私を放置するくらいに…」
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