序章『覚醒者としての日常』

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「あ…いや、これはホラ、宇野はご飯の準備をしていただろ?」 「たまには手伝ってくれても…」と宇野は言いながらユラユラと歩み寄ってくる。 その様子から黒影は焦る、数日宇野と過ごしてきたが、未だに扱い方がわらない。 (何なんだ…、どうすればいいのかサッパリわからない…、いやしかし筐体を壊されるわけにはいかん!!) 幸い宇野の手には何も握られていない。 少なくとも黒影にはそう見えた。 ヒュンと黒影のすぐ後ろの壁から音がした。 「なぁ…宇野さんよ…?いったい何処からナイフが出てきたんだ」 「そんな事はどうだっていいわ、そのゲームのせいで私が寂しい思いをするんだったら…」 「だったら…!?」 ストン!!とナイフが更にもう一本壁に突き刺さる。 よく見ると宇野の指と指の間には、ナイフが握られていた。 数えると約八本、どれも宇野のエモノとなっており、自在に操っている。 「こうするしかありませんわ」 「あっ!!テメェ!!」 筐体の画面中央にナイフが突き立てられ、すぐに画面が映らなくなった。 その後も数回画面をナイフで貫き続ける、余りに執拗に刺しては抜く、この作業を繰り返していた。
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