懐古

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翌日から、愛理紗は時間を見つけてはよく病室に顔を出す様になった。 そんなある日、清拭の練習台になったお礼に来た看護学生と話していると、愛理紗がやって来た。 学生は直ぐ帰ったが、何故か不機嫌全開に、「むうぅ……」と、唸ってる。 すると、突然ベッドを囲むカーテンを閉め、寝ている俺の耳元に顔を近付けると、 「私も清拭の練習したいなぁ…」 なるほどね…。 少し上体を起し、左腕を自分の方へ引っ張って、倒れて来た愛理紗を抱き留める。 「‐‐反則…」 次の言葉を聞かず、愛理紗の唇を唇で塞ぐ。 静かに解放すると、上目使いに睨みながら、 「ずるい…」 あッ、ダメ 限界。 起こした上体に、愛理紗の体重も加わり、痛めた腰と俺の腹筋は悲鳴をあげた。 そのまま仰向けに倒れると、俺に抱かれたままなため、上体反らしの格好で今度は俺を見下ろし、 「海斗君のバカ、 キスする前に、私に言うことあるでしょう?」 「俺の彼女に成ってくれ」 「や~だよ、 ‐‐‐やり直し」 くっ…かなり恥ずかしい…。 「な な…南雲愛理紗さん、彼女として僕と付き合って下さい。」 「うん、よろしい」 今度は愛理紗が、覆い被さる様に俺にキスをした。
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