懐古

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でも、俺はこんな時に何故か素直に成れない。 「待ち人来たらずか。 あっ、用事思い出したから帰らなきゃ」 言った瞬間、俺の腕をガシッと掴み頬をブーと膨らませると、自分のトレーに有ったプラスチックのナイフを手にして、 「このぉ、死んでしまえ」 と俺の脇腹を突いた。 「はい、死んだ死んだ、 当たり前の事聞くから…」 「だって、当たり前でも逢いたかったよ。って言って欲しいもん」 そんなイジケて見上げられたら…降参です。 「愛理紗とっても逢いたかった。 なんか今日の愛理紗、萌るわ」 「むふ、そうかそうか」 かなりご満悦な様子な所で申し訳無いけど、 ナイフ突き付けるのは止めて。 「そうそう!部屋決まったから見に行こう」 ちょ――っと待てい。 俺の意見は?何でもう決まってるの? 完全に、憮然とする俺のことをスルーし、手を引いて歩きだす。 部屋へは駅から5分位で着いた。
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