あなたの傍で

懐古

俺は何も言えず、黙って愛理紗を見つめていたが、
ふと隣に立つ愛理紗の祖父を見ると、彼の目は優しく慈愛に満ちた目で愛理紗を見つめていた。

俺の視線に気付いたのか一度俺を見ると、また愛理紗に視線を戻しながら、

「あの子を車に例えるなら、イタリアの魅力的なフェラーリやランボルギーニって所かな。
幾ら憧れても、自在に操れるのは車が認めたドライバーだけ。

視界も良くないし、時々ブレーキも甘くなる。
君は、とんでもない暴走マシンに乗り込んだぞ。
あれは途中下車は出来ん。
車自体が自らの意志で止まるか、放り出されるまで、ひたすら運転を続けるしかない。

頑張れよ、海斗君」

薄々解ってはいたけど、身内に言われたら…
あんまり脅さないで。

けど、
話を聞いて、俺はスッキリした気持ちになった。