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「……私のマスターが、先ほど私がいた場所で待っているようにと仰いました。しかしこのような低温下では回路が不具合を起こしてしまい、再起動も困難なのです」
少し躊躇う素振りを見せながらも彼女が語った理由に、僕は何も言うことが出来なかった。
だってそうだろう? 今でも時々テレビでは「マイロイド不法投棄問題」だの「機械に対する暴力の規制」だのと騒ぎ立てているんだから。
マイロイドをこんな所に置いて行く理由なんて馬鹿な僕でも想像がついたし、それを彼女に伝えることなんて出来るわけも無い。
それに僕はほんの少し、彼女に対して自分を重ねてしまっていたんだ。
社会というものに見捨てられて誰からの救いも望めない僕と、唯一無二のマスターに見捨てられて誰にも拾われることの無かった彼女を。
「いいよ」
気が付いたらそう言っていた僕の笑顔は、酷く醜く歪んでいたに違いない。
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