第2章 マイロイド

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 部屋を出ようとドアに手を掛けたが、どうにも息苦しい。まるで血液中の酸素が侵されて、呼吸困難に陥ったみたいに。  たぶん僕は今自分が生きていることに安堵していて、そして彼女に感謝しているんだろうと思う。  だからこんなにも彼女のいない未来が恐ろしい。彼女がいないことで、再び生への執着が消えてしまうかもしれないことが。  やっぱり僕らは似ているんだろう。僕も君も、君が目覚めた時に僕が側にいるか気が気でないんだ。  働かなくてはいつか金は無くなる、だからどうかそれまでは。 「……おやすみ、杏子」  側にいて欲しいなんて願うのは、死に損ないの単なる我が儘に過ぎない。    *   *   *  朝7時に杏子を起こして、二度寝しないために最近始めた散歩から帰って来ると、家の中が変に散らかっていた。
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