第2章 マイロイド

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 この部屋を隈無く探してみようか……いや待て考えろ僕、彼女のことだからこの部屋どころか家中、果ては外も探した後だろう。  なら彼女が知らなくて僕が知っているような場所を探すのが、一番効率的で―― 「あ」 「何か思い出したんですか!?」  僕の記憶が確かなら、僕に向けられたこの期待の眼差しに応えることが出来るかもしれない。  幼い僕が祖父の部屋に遊びに行った時、祖父はあの机の側に座り込んで何かをしていたのだ。  あの机は手先が器用だった祖父が作ったもので、何をしているのかと聞いた僕に祖父は「机を宝箱にしていたんだ」と笑っていた。 「机に何かあるのかも……」  壁と同様に古びた色の机には小学校で使う机のように引き出し等は無く、ただ物を入れるスペースがぽっかりと空いている。  ひとまず手を突っ込んで中を探ってみるが、僕の指に小さな棘が刺さっただけで何も収穫は無い。
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