第2章 マイロイド

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 だが最初から机の中にあるとは思っていなかった。僕が知りたかったのは、この中の奥行き。  前面以外の机の脚には、部屋の床と壁にぴったりと接するように板が張られていて、一見すると物が落ちるような隙間は見当たらないけれども。 「ちょっと下がってて」  杏子が離れたのを確認し、机を動かそうと試みる――が何故かそう重くもないだろうに全く動かない。  嘘だろ、いくら僕が非力だからって……自尊心のために机の脚をよくよく見てみると、釘で頑丈に床と接着してあった。良かった、何がとは言えないけれど良かった。  なら仕掛けがあるとしたら机の下か。これ以上彼女を待たせたくはないし、ズボンの膝なんて気にしている場合じゃないな。  狭い机の下に潜り込んでみると、本来なら壁があるはずの位置より少し手前に板壁があり、右の隅に亀裂のような隙間がある。  そこに指を入れて思い切って引っ張ってみると、大量の埃と共にばこっと板が外れた。
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