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外した板と壁の間に隠された狭い空間には、埃にまみれてはいるものの鮮やかな橙色が落ちている。
見つかった安堵と妙な達成感で胸を膨らませながら、僕はそれを掴んで机の下を出ようとした。
が、祖父の秘密のスペースにある何かが目に止まった。壁と同化していて初めは気付かなかったけれど、見た感じノートのような。
祖父のものだろうか。これについては後で見てみるとして、とりあえず机の下から出よう。
「これ、だよね?」
軽く埃を払って手渡――そうとした僕の手からリボンをあっという間に奪い取り、ぎゅっと胸に抱く杏子。
余程大事なものなんだろう、頬を真っ赤に上気させている彼女を見ていたら、僕も嬉しいんだけどそれ以上になんだか複雑な気持ちになってしまって。
「本当に本当にありがとうございます! 見つからなかったらどうしようかと――」
「それ、さ。君のマスターに貰ったの?」
自分でもびっくりするぐらい冷たくて刺々しい声が出てしまった。
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