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「大学入試の模擬試験!そら大変そやなあ」 何故かベンチの隣に座る男性は麻衣が模試の帰りだと言うと大袈裟にそう言った。 「んで、結果が納得できひんの?」 少し微笑み、また八重歯を覗かせて右目で男性は麻衣を見る。もちろん左目でも見ているのだが左側の顔は前髪で覆われているため右目のみで麻衣を見ているように感じる。 「だって第一希望C判定‥」 そういうと麻衣は再び長い髪がももにつくほど下を向く。その姿を見て男性はふーんと声を出し、模擬試験の結果を覗き込む。 「てゆうか、あなたは何?ナンパ?」 がっくり肩を落としていたのにもかかわらず、思い出したように麻衣は男性に尋ねる。男性は急にこちらを向かれたので少し驚いたが、また八重歯を見せる。 「人探しをしとるんや」 「人探し...?わざわざ西から?」 「そーやー。あんさん、よおうちが西から来たってわかりおしたな」 それだけ訛っていたら当たり前だろうと思ったが麻衣はあえて男性にそのことを伝えることはしなかった。
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