鏡の怪談

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こんな話がある ある鏡の好きな女性がいた その人は「12時に合わせ鏡をつくると何かが起こる」というちょっとした怪談話を信じていた ところが合わせ鏡をつくっても何も起きなかった ある日、骨董品を売っている店で曰く付きの二枚の鏡を買った その鏡にはどこかの言葉で、片方に「天」、もう片方に「地」とあった そしてその晩、その鏡で合わせ鏡をつくった 12時に近づいていくが、何かが起こる気配がなかった そこで女性は「天」の鏡を天井に貼り付け、「地」の鏡を床に置き、鏡を糸で繋いだ 12時になって鏡を覗くと、合わせ鏡ではなく、縦穴のようになっていた そしてなにかのうめき声が聞こえ、よく見ると化け物が登ってくるのを見た 慌てて糸を切ると、「天」の鏡が落ち、「地」の鏡を割った 断末魔の叫びと小さな肉片を残して化け物は鏡の中へ落ちた 以来女性は家に三面鏡を置かなくなったらしい
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