プロローグ

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「待ってください。まだできていないみたいです」  まだ準備ができていないことに気付いたのか、僕の代わりに沙希が返答する。  豆電球の明かりを頼りに、僕は辺りを捜索する。  ポンと後ろから肩を叩かれ後ろを振り向くと、僕のゴーグルを片手に持った沙希の姿がそこにはあった。 「はい」  沙希は僕にゴーグルを手渡すと、そのままゴーグルのコードを伸ばして機械に接続する。 僕は急いでヘッドホンとゴーグルを装着し、横になる。  何も知らない人がこの状況を見たら、僕は変な奴に思われるだろうが、多分そんなことはないだろうからどうでもいい。 『んじゃー、いくよ。よい夢を』 「おやすみなさい」  沙希はいつも通りの口調でそう呟いた。僕も心の中でおやすみと呟いた。
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