1人が本棚に入れています
本棚に追加
何とも人を優しい気持ちにさせる笑顔の幸夜さんです。これで他の方がやられてしまうのも頷けます。
「はい。えっと、ここ座って良いですか?」
「あ、少しお待ち下さい」
そう言うと幸夜さんは、愛さんが座ろうとした椅子とは別の椅子を持ってきました。
「あの…?」
「その椅子、最近調子が悪いみたいで音がよく鳴るんです。危ないですからこちらに座って下さい」
そう言うと幸夜さんは、新しく置いた椅子の上に座布団を敷いてくれました。
「あ、ありがとうございます…」
「いえ、商品は出し終わりましたから、お話しをお聞きしますね」
「は、はい…」
愛さんは少しためらいがちに口を開きました。
「あ、あの。私、1年5組の野々宮愛と言います。えっと。わ、私、人の目を気にして、自分の意見が、その、言えなくて…」
愛さんはそう言うと俯いてしまいました。怖いのか目が泳いでスカートを握りしめています。
そんな様子を見た幸夜さんは、近くにあったヤカンから暖かいお茶をいれると愛さんに渡しました。
お茶を一口飲むと、少し落ち着いた様で続きを話し始めます。
最初のコメントを投稿しよう!