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「その。私、もっと自分に自信が持ちたくて…」
最後は尻すぼみしてしまいましたが、自分の気持ちをきちんと言えました。
「…昔話なんですけど、聞いて頂けますか?」
「え、えっと」
いきなりの事で愛さんは狼狽えてしまいましたが、幸夜さんは笑顔のまま話し始めます。
「私の同級生で愛さんと同じ悩みの人がいたんです」
幸夜さんは優しい声音で話します。
「その人は、どうしても自分の意見が言えなくて、いつもどうして言えなかったんだろう、あそこで言えたらなぁっていつも悩んでいました」
「私と同じです。私も言いたい時に言えなくて…」
「そうですか。…話の続きですが、その人が私に相談しに来ました」
愛さんは静かに話を聞きます。
「どうしたら人にきちんと自分の言葉が伝えられますか、と」
「…その人には何て答えたんですか?」
ふふっと幸夜さんは笑みを深くしました。
「私に相談しに来た時に、勇気を出しましたよね?」
「はい…」
「話しかけるのに必要なのは、心遣いとほんの少しの勇気です。そう言うとその人は少し考え込むと、気持ちが晴れたのかありがとうと言われました」
「心遣いと、勇気…?」
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