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「やっと、やっと終わったぁ……!! さっ、帰るぞ!!」
太一は端から見たら気持ち悪いと思われる独り言を言って、教室から出た。
教室から出た太一は、陸上のジャマイカ代表選手も顔負けのスピード……とまではいかないが、ダッシュで廊下を走り、階段を駆け降りて行った。
「うおぉ……マジでマジでマジで楽しみだ!!」
太一は、マジでという単語を連呼しながら満面の笑みで上履きを乱暴に脱ぎ捨てて下駄箱から靴を手に取り素早く履くと、自転車置き場まで走って行く。
自転車の鍵を開けて、跨がった瞬間、誰かの手が後ろから太一の右肩を叩き、軽く掴んだ。
太一が素早く振り返ると、ニカッと無邪気な笑顔で立っている少年がいた。
「おーい、太一~!! バスケしに行こーぜ!!」
「おーい、野球しよーぜ!!」的なノリのこの男は、なかじ――。
――では無く、小学校の頃から太一の友達で名前は花山 大樹(はなやま たいき)である。
太一と名前が似ているせいか、ずっと仲良い友人だ。
そして大樹はパソコンオタクであり、脇に黒いノートパソコンが挟まれていた。
だが、太一には一刻も早くやるべき事がある訳で、即断る。
「パスッ!! 今日は何が何でも無理!!」
両手で大きな×印を作り、悪そうに、「ごめん」と頭を深々と下げて謝る。
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