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嘆息。
「……あ~、うるせぇぞガキ共……少しは静かにしろ。オメェらは犬かっつう話だ」
そういってナタセンは場をいさめようとしたが、如何せん『転校生』という学校生活で一大行事といえるイベントに、誰もが興奮おさまらぬようであった。
当たり前のことであるが、俺は先程と変わらず無関心であり、今度は聖職者たるナタセンの粗暴な言葉に異を示すべきか思案している所であった。
「……ちっ、しゃあねぇ……。おいそこの浮かれた顔したお前。この騒ぎサッサと終わらせろ」
ナタセンが何か言っているが気にすることはない。今俺に必要なのは平常心と――。
「……聞いてんのか厚顔無恥野郎天瀬正義」
「言い過ぎじゃね!?」
蔓延る虚実を打ち破ること!
「ああ悪い。……厚顔無恥野郎の称号を三年連続で手にした、天瀬正義だった」
「いや、そんな不名誉な称号、一度も貰ってねぇよ!?」
なぜ俺の周りには他人の訂正を受けた上でエスカレートする人間ばかりなんだ!?
<類は友を――>
(黙れ悪魔。)
てかいつの間に。
浮かれていたらしい自らの顔を元に戻す。
〈……もう遅いぞ〉
とりあえず悪魔はスルーしようと思う。
「……何でもいいから静かにさせろ」
と、ナタセン。
くっ……、話の転換によってさも自分の発言が正しいようにみせるとは……。
それでは俺が転校生がくることに喜んでいたようではないか!
<いや、その通りだろ>
悪魔の戯言など聞こえん!
「正義。そろそろ静かにしないとまずくない……?」
弥楽が少し不安そうに言った。
何がまずいのかといえば、この騒ぎの元の転校生が、である。
騒がしく(客観的に)異様な雰囲気の教室に入る勇気がある人は少ない。
ただでさえ、転校生ということで蚊帳の外なのに、そんなに緊張をさせてはいけない。
「よし……」
「どうしたの?」
「取り敢えず耳塞いどけ」
「?」
首を捻りながら弥楽は耳を塞ぐ。
俺は黒板の前まで歩き、
爪をたて、
黒板を思いっきり引っ掻いた。
キ―――ッ……!
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