1章 日常/非日常

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帰宅。 ちなみにゲームは惨敗だった。 撃ち殺すゾンビというものが、なぜか可愛くデフォルメされた三頭身のキャラだったのだ。 ………。 撃ち殺せるか! ちなみに弥楽は、普通に全てのゾンビに対して躊躇なくヘッドショット。 曰く、『何で撃たないの?ゾンビはゾンビでしょ。見た目で差別しちゃじゃない?』とか。 ……やっぱパネェ。 ……差別て。 「ただいま~」 「ただいま」 家には誰もいない。 母さんは仕事だ。 「さてと」 宿題でも…… 「さぁ!ゲームやろう!」 「まだやんの!?」 言ったころには、既にゲームの電源がいれられ、テレビには有名メーカーのロゴが輝いていた。 早っ。 まぁ、いつもの事だが。 「何言ってるの?当たり前じゃない」 「さも当然のようにいうな」 「え?当然でしょ」 「本気なのかよ!?」 「目の前にゲームがあったらまずやらないといけないでしょ?」 「もはや義務の域か」 この世からゲームが消えたらどうすんだこいつ。 ……………。 ……むちゃくちゃ勉強して自分で作ろうとするな、多分。 <何処までも貪欲なんだな> それが、御鞍弥楽だ。 それ以下でも、恐らくそれ以上でもない。 <よく知ってるな> (当たり前だ) こんな身近にいる人間のことが分からないほど、俺は馬鹿じゃない。 <じゃあ、取り敢えず馬鹿なんだな> (違ぇよ!) <……アホなのか?> (お前は俺のことどう思ってるんだよ!?) <残念> (何が!?) <痛々しい> (どこが!?) <忌々しい> (お前がな!) 「………ねぇ」 突然弥楽が言った。 とはいっても、視線は目まぐるしく変わるテレビ画面に向いたままだ。 「どうしたの?何か正義、今日変だよ」 「……っ、そうか?」 「そうだよ。何かよく硬直してるし、何もないのに表情コロコロ変わるし」 <完全に変人だな> (お前のせいだろ!) 「……ほら、今も!」 「いや……何でも無いって」 俺は誤魔化すために自分の部屋に行こうと―― ガッ プツッ 「……あ」 ゲーム機のコードに引っ掛かった。 当然の如く、そのケーブルが抜けた。 光輝いていた画面が、黒一色になった。 あと最たる変化はひとつ。 「……正義!」 修羅と化した弥楽だ。 ……その怒りを放たれた後、俺は生きていられるだろうか。 俺は信じてもいない神に祈ってみた。 悪魔がいるなら神もいるのかと考えながら。
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