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朝。
起床。
幼馴染み。
と、言えば分かるだろうか。
などと、天瀬正義(アマセ セイギ)16歳(高1)――つまり俺は、いもしない聞き手に問いかけてみる。
もちろん意味はない。
この世で、最もと言っていいほどだ。
だが、別にそれを妨害するものはない。
当たり前だが。
「正義!起きて!」
大声で叫んでいるのは御鞍弥楽(ミクラ ミラク)という、江戸時代の偉人っぽい名前の女。
というか幼馴染み。
現在、幼馴染みに起こしてもらっている。
<それなんてギャルゲ?>
(知るか。)
天からの声に一応答える。
確かに王道中の王道、わかりやすいものではあるが。
弥楽はそんなゲームに出現するキャラではない。
「いい加減起きないとエロ本見つけちゃうよ?」
……というか、誰もいて欲しくないだろこんなヒロイン。
女子がエロ本ゆーなや。
仕方なく暖かい楽園(布団)から抜け出す。
別にエロ本探されたら困るからではない。
<嘘つけ>
(俺はそんな本など所持していない……!)
<……映像派?>
(違うわ!何で食い下がってくんだよ!?)
(そんなに俺を陥れたいのか!?)
……と、天からの声と会話していると、弥楽が業を煮やしたように言った。
「ほらほら、起きたら着替えて!」
はいはい。
俺は服を脱……って待て。
「お前は何をしている?」
「写真撮影。」
うん。
実に迷いの無い晴れやかな笑みだった。
俺はそれに微笑み返し、携帯を構える幼馴染みの首を掴み、部屋から引きずり出した。
……何か一日の始めに一番疲れている気がする。
いや、気がするのではなく実際に疲れた。
今日一日を生き抜く活力を削られた俺は、ダラダラと着替え始めた。
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