1章 日常/非日常

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朝食。 制服に着替えた俺は、階段を降りて食卓に向かった。 「おはよう正義」 「……おはよう」 「正義!早く早く!」 いたのは弥楽と母さん。 テンションの高い弥楽とは対称的に、落ち着いた母さん。 何故この二人は仲が良いのだろうか。 「ところで弥楽ちゃん、息子は相変わらず変態だった?」 「残念ながら確認できませんでした」 ……………。 <噛み合い過ぎだろ……> (ほっといてくれ……) 「それにしても毎朝悪いわね弥楽ちゃん」 「いえいえ、三年もしてれば慣れますよ」 そう、弥楽が俺を起こしに来るようになったのは、一緒に住み始めてからだ。 <……ちょっと待て> (……なんだよ?) <一緒に住んでんの?> (ああ。) <……………> ……………? <それなんてエ◯ゲ?> (ランクアップした!?) ちなみにそんな関係ではない。 弥楽の親とうちの親は、俺たちの生まれる前から交流があった。 三年前、弥楽の両親が失踪するまで。 弥楽は親しい親戚がいなかったために、一人で生きようとしていた。 そこで、母さんが「うちに来なさい」と言ったのだ。 同年代の男がいるというのに弥楽は気にしなかった。 幼馴染みといえば色恋沙汰に結びつける人間が多いが、実際には兄弟姉妹と変わらない。 そんなわけで、弥楽は俺の部屋の隣に部屋を持った。 もちろん鍵つき。 <……それなんて> (くどいな、おい!) 俺は天の声をスルーすることにした。 「……?どしたの正義。固まっちゃって」 「いや、ちょっとな……」 「毒電波でも受信してた?」 「お前は俺のこと何だと思ってんだ!?」 「とても残念な人だと」 「即答かよ!?」 「訂正。とてつもなく残念な人だと」 「何故に上方修正!?」 「下を見ろって?私には上しか見えないの!」 「多分キャラ固まってないだろ、それ」 「あなたが何と言おうと私は諦めない!」 「……………」 何世代か前のスポーツ漫画のキャラだろうか。 「二人とも、早く食べないと遅れるわよ。痴話喧嘩もほどほどにしなさい」 「ちっ、痴話喧嘩なんてそんな……」 「おい弥楽。わざとらしく顔を赤らめるな」 「私たちはただの幼馴染みで……」 「まだ続けるか!?」 その似非ラブコメ。
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