第一章

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「べっ別に怖くないかんねぇよ!」 光は慌てたように言った。 「じゃあ行くよな?」 「あっああ!行ってやるよ!」 健人が挑発したように言ったので、光は行くと言ってしまった。 「ヨッシャ、決まり!他の皆はいいよな?」 「桃華怖ーい。」 桃華は怖がるフリをして明らかにブリッコをしていた。 「大丈夫だって。」 「じゃあ健人が守ってねぇ?」 「はいはい。」 「じゃあ桃華も行くー!」 「じゃあ決まりだね!いつにする?」 加奈がまた皆に聞いた。 「明日で良くない?場所とか時間とかはあたしから後でメールするわよ。」 怜子がそういう言い、皆納得して、今日は解散することになった。 「明日、楽しみだなあ。」 家に着いた加奈はウキウキしていた。 ピロリンと音がして携帯を開くと怜子からメールが来ていた。 メールには明日、町のはずれにある廃墟ビルの前に19時に集合と書かれていた。 わー廃墟ビルとかちょっと本格的かも。 怖そうだけど、楽しみだなあ。 加奈は携帯をパタンと閉じると、眠ることにした。 翌日、目を覚ましてからはなんとなくダラダラと過ごしてしまい、皆との肝試しをする時間まで迫っていた。 加奈は慌てて家を出て、廃墟ビルへと走って行った。 加奈はギリギリ時間に間に合い、集合場所にはもう皆集まっていた。 「もう加奈、遅いよぉ!」 桃華は可愛らしい頬をぷくっと膨らませて言った。 「ごめん、ごめん。」 加奈は苦笑いしながら謝った。 「はい、これ。」 「えっ?」 聡美にいきなり懐中電灯を渡されて加奈は間抜けな声を出した。 「それ、加奈の分よ。本当は1人ずつで回るはずだったんだけど、光があんまりにも怖がるから皆で回ることになったから、加奈にも渡しておこうと思って。」 聡美はクスクス笑いながら言った。 「やっぱり光怖がりなんだね。懐中電灯ありがとう。」 加奈も笑いしながら、聡美にお礼を言った。
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