第一章

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「もう皆怖がりだなあ。俺が入るから皆もついて来いよ。」 健人は笑いながら部屋と入っていく。 「あっ健人!」 加奈は慌てて健人を追って入っていった。 続けて他の皆もぞろぞろと部屋に入った。 部屋は錆びた机と椅子、古びた本が入っている本棚があった。 照明は壊れており電球がない。 窓を見るとガラスはなく、薄汚くビリビリに裂けたカーテンが風に吹かれてなびいている。 「なんもねぇなあ。」 健人はのんきに辺りを見ながら言った。 「なんかでも不気味じゃない?」 加奈は辺りを見ながら言う。 カタカタと本棚が少し揺れていた。 「…なんか本棚揺れてない?」 聡美が本棚を見ながら言う。 そして恐る恐る聡美は本棚に近づく。 「さっ聡美。危ないんじゃない?」 加奈は心配そうに聡美に話かける。 「でも確かめないと…。」 聡美は本棚に近づき、本棚に触れた。 バチンッと強い電流が流れたような音がした。 「さっ聡美っ!!」 加奈は叫んだ。 聡美はその場に倒れたのだ。 そして加奈が聡美に近づこうとした瞬間だった。 聡美の体から赤い液体が流れ出てきた。 「こっ…これ………。」 加奈は真っ青な顔をして聡美を見た。 「血だ…………。」 先ほどまでのんきに笑っていた健人からも笑顔が消えた。 「なんで…なんで………?なんで…聡美が…………。」 加奈は怖くなり後ずさる。 「一体何が起こったの?おかしすぎるでしょ………。」 怜子が青ざめた顔で言う。 真と光はショックのあまり声が出なかった。 「もうなんなの、ここ!怖いよ!嫌ぁっ!」 桃華は泣き叫んだ。 聡美は死んだ。 「とにかく…今はここから出よう。ここは普通じゃない。危ない。」 健人は真剣な顔で言う。 「でも…聡美は?」 「聡美は…今はどうにもできないだろ…。」 「そう…だね……。」 加奈はうつむきながら言った。
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