第一章

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「さあ?なんでだろうね?」 秀章は不適な笑みを浮かべながら言った。 「さぁ…って自分のことでしょ?」 怜子が不審そうな顔をして言う。 「それより、君たちはなんでここにいるの?」 今度は秀章が問いかけた。 「あっそれは、肝試しをしに……。」 加奈が答えた。 「…ふーん。そうなんだ。皆怖いもの好きなんだ。」 「えっ好きってわけじゃ………。」 桃華がギョッとした顔をして言う。 「じゃあ、これから楽しもうよ。僕と。」 そういうと秀章はパチンっと指を鳴らした。 「えっ……?」 加奈は疑問に思い声を上げる。 すると、目の前が真っ暗になって、そこから皆の記憶は途絶えた。 どれくらい時間が経ったんだろう。 加奈が目を覚ますと、そこは自分たちが住む街の公園だった。 「皆起きてっ!」 加奈の周りに横になっている皆を加奈が一人ずつ声をかけて起こした。 「ここは…港公園……?」 怜子が辺りを見ながら言う。 「多分、そうだよ。」 光が久しぶりに声を出した。 「でもなんか変じゃない?空が灰色なんて……。」 桃華に言われて、皆空を見上げる。 空全体は灰色に覆われており、なんだかとても不気味に感じられた。 太陽の光は入ってくるわけもなく、とても暗く感じられた。 「なんだか不気味だな……。昼間も夜もないように感じられる……。」 真は困惑した顔をして言った。 「それよりなんで俺たちこんなところにいるんだ…?」 健人が不思議そうな顔をして言った。 「確かにあたしたち廃墟ビルに行って肝試しをしてたのに……。」 加奈も疑問に思って言う。
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