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ふと、この空間の雰囲気が変わる。
変わるというかなんというか。
風が、大地のざわめきが、まるで空間からえぐり取られたかのように、消滅した。
そしてこの異変に、今まで怒鳴っていた奴らや、一人コントをしていた奏が黙る。
「始まる……」
ノエルがなにか呟いた瞬間ーー。
「うぃぃぃぃぃぃぃぃいぃいぃぃぃッ!! てめぇら元気にしてたかごるぁぁぁッ!!」
耳を塞ぎたくなるような大音量の声が、異様にダンディな声がこの空間に響き渡り。
そして、声のした方向、すなわち浮いている不可思議なテレビの方を見ると、一体の熊のぬいぐるみがテレビに座り、煙草を吸っていた。
黒いキュートなおめめ。
目許まで吊り上がったワイルドなお口にギザギザのいかす牙。
二つの丸い天使のような白い耳。
そして母性本能をくすぐるふかふかしてそうな顔から下。
完璧に、凶暴そうな熊のぬいぐるみがそこにいた。
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