一界目 荒れ地と空

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俺が高校生くらいの頃、夜にテレビを見ると、芸人が朝起きたら自分の知らない場所に居た、みたいなドッキリ番組がやっていたのだが。 俺は騙されてやたらリアクションの高い芸人を見て、『んだこいつらキメー』としか思わなかったが、やっと芸人の気持ちがわかった。 なぜ気持ちがわかったか? なぜならば、俺も怠そうに目を覚ますと、知らない場所にぽつねんと立っていたからである。 「え? なに? ドッキリ? ちょッ!? はッ!?」 俺は一人混乱していた。 当たり前である。 こんな状況下で泰然たる態度の奴なんかいるのだろうか?。 居るはずがない。そんなのは漫画や小説だけの話しである。 だから、失禁しそうな状態の俺も普通のはずだ。 大体、辺り一面が荒れ地とはどういうことだろうか? 折れている朽ち木。 赤黒い色をした奇妙な岩。 そして荒れ果てた大地。 まさに荒れ地である。 しかし、空は不気味なほどに快晴だった。
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