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「……てか此処どこ?」
俺は一人、今一番知りたいことを呟いていた。
独り言である。
なので誰もこの独り言に答える人は---。
「き、君も気づいたら此処に?」
「うひゃッ!?」
---いた。
居たよ。
しかも後方に居るよ。
てか変な悲鳴あげちゃったよ。
俺は変な悲鳴をあげてしまった羞恥と、後方の人物への恐怖。
俺は変な汗をダラダラと垂らし両頬を赤く染めながら、声がした方向、つまり、後を振り向くと、目の前にスーツを着た痩せ型のおじさんが疲れた果てた様な、そんな表情で立っていた。
身長は百六十五辺りだろう。
その辺に居そうな普通の中年サラリーマンてのがしっくりくるだろうか?
「だ、大丈夫?」
「う、うへ?」
「あの、なんか苦しそうだから……」
「あ。は、はい。大丈夫です。なんかすいません。あの、貴方は?」
「私? 私は坂市十郎。サラリーマンだよ」
俺の問い掛けに、頗る優しい坂市さんは聞いてないことまで答えてくれた。
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