一界目 荒れ地と空

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あぁ、なんて優しいのだろうか。 坂市さんという人物は。 紳士だな紳士。 後ろを振り向いた時この人でマジで良かったわ。 いや、信用はしてないけども。 「そうですか。俺は色峰睦月といいます。一応ニートやってます」 「え? にーと?」 あ、駄目だ。 多分この人ニートの意味わかってない。 てか、御時世にニートを知らない人がいるとは。 まあ、幻滅されないで済むから良いけどさ。 普通の人だったらドン引きかドン引きかドン引きしかねーもん。 「こほん……。それより、俺と坂市さん以外、”ここ”には誰も居ないんですか?」 俺は誤魔化すかのように咳ばらいをし、俺は坂市さんに問い掛ける。 「えっと……。居るよ? あそこに」 そんな悲しい男、色峰睦月を見た坂市さんは苦笑しながら、俺の前方を指差す。 「あ……ほんまや」 坂市さんが指差した先には約二十名くらいの男女が居た。 距離にして二十メートルくらいだろうか。 わりと近くに居たね。 なんで俺気付かなかったんだろ?
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