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あぁ、なんて優しいのだろうか。
坂市さんという人物は。
紳士だな紳士。
後ろを振り向いた時この人でマジで良かったわ。
いや、信用はしてないけども。
「そうですか。俺は色峰睦月といいます。一応ニートやってます」
「え? にーと?」
あ、駄目だ。
多分この人ニートの意味わかってない。
てか、御時世にニートを知らない人がいるとは。
まあ、幻滅されないで済むから良いけどさ。
普通の人だったらドン引きかドン引きかドン引きしかねーもん。
「こほん……。それより、俺と坂市さん以外、”ここ”には誰も居ないんですか?」
俺は誤魔化すかのように咳ばらいをし、俺は坂市さんに問い掛ける。
「えっと……。居るよ? あそこに」
そんな悲しい男、色峰睦月を見た坂市さんは苦笑しながら、俺の前方を指差す。
「あ……ほんまや」
坂市さんが指差した先には約二十名くらいの男女が居た。
距離にして二十メートルくらいだろうか。
わりと近くに居たね。
なんで俺気付かなかったんだろ?
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