青年の日常

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「ふわぁ・・・・・・っ」 襖の隙間から漏れる日光を浴び、彼はゆっくりと目覚めた。自然と出てしまう欠伸を抑えようと、手で口を塞ぐ。 「・・・・・・・・・」ボー 布団から上半身を起こしたもののまだ眠気が抜けきっておらず、しばらくの間ぼうけていた。 寝起きの状態でいる間は、この身体が自分の物であることを忘れてしまうような不思議な感覚に陥るものだ。 やがて、身体の内から自分が戻ってきた。 そして布団から立ち上がり、襖を開け、陽の光を盛大に浴びながら体を伸ばしだした。 「んんっ・・・・・・・・・・・・・・・はあっ・・・・・・やっぱ春の日差しっていいなぁ」 現在三月の下旬、時刻は午前六時前。天候は晴れ。 ちょうど朝日が気持ちいい時間である。 着ている和服が若干開(はだ)けているが、男なので問題ないだろう、と彼は勝手に結論づけて再び体を伸ばした。 そんな彼の隙をついて、服の隙間から入り込んでくる春風がどこと無く心地好かった。 「とりあえず着替えっか。」
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