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気がつけば、俺は教室にいた。
ほぼ無意識で廊下を歩いていたような、そんな感覚。
それくらいボーッとしていた。
あの日々から、どれくらい経ったんだろうか。
実際は、さほど経っていないのだろうけど、なぜだか遠い昔のことのような気がした。
授業で居眠りしたり、昼休みに何人かで連んでトランプしたり、登下校は幼馴染と何気ない話をしながら笑いあったりして、ただ過ぎゆく日々を、流されるように満喫していた。
あの日々より、ここ最近の数日のほうがずっと長く感じた。
教室の大きな窓に寄りかかり、目を瞑った。
「まるで走馬灯だな……」
独り言を呟いた。
何言ってんだと、抑えるように口を固く閉ざした。
鼻からため息をこぼした。
思わず、その場で座り込んだ。
もう、何がしたいんだか、さっぱりわからない。
そう思った、その時だった。
「誰かいるの?」
声がした。
「いるけど?」
素っ気なく、聞き返すように答えた。
俺はゆっくりと立ち上がって、また窓に寄りかかった。
「あ、久しぶり」
「おう」
そこにいた彼女こそ、俺の幼馴染だった。
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