20人が本棚に入れています
本棚に追加
「いっただきまーすっ!」
璃沙のハイテンションあいさつによって始まるいつもの朝食。潤はどこまでもクール。俺は多分一番まともだ。そして玲冶さんはそんな俺たちを暖かく見守っている。
と、不意に玲冶さんが口を口を開いた。
「ところで次の仕事なんだけど。明日の夜な」
「えーっ、あたし明日友達とカラオケ行く約束しちゃったもん」
「グランパが決めたんだ。しょうがない、断れ」
『仕事』とは、玲冶さんの能力が暴走してしまい、破滅の神『ウィアード』が覚醒したあと、玲冶さんが自身の力で再生の神『フィリーク』を呼び起こしてウィアードを滅ぼしかけたとき、ウィアードが最後の力を振り絞って自身の種を残すために生み出した『アーク』と呼ばれる子孫をすべて殺すこと。
そう、それがあの日の惨劇。あの夢の中身。そして、俺はあのとき、力を手に入れた。
今も玲冶さんの中でウィアードは眠り続けていて、再び目覚めたとき、世界が本当に滅びる、らしい。
だから情報屋で玲冶さんの尊敬している『グランパ』の指示で動いているんだ。でも、俺たちはグランパについて何も知らない。いや、玲冶さんが教えてくれない。
そしてこの家はもともとグランパの持ち物。
まさに危険と隣り合わせ。それが俺たちの仕事。
最初のコメントを投稿しよう!