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福「丁度よかったです。今自己紹介をしているところなので姫路さんもお願いします」
瑞「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします…」
いや、待て。なんでだ?
アイツの頭なら間違いなくAクラスだろ、一体なんで…
「はいっ!質問です!」
既に自己紹介を終えた男子生徒の一人が高々と右手をあげる。
瑞「あ、はいっ。なんですか?」
登校するなり、質問がいきなり自分に向けられて、驚く瑞希。
「なんでここにいるんですか?」
聞きようによっては失礼な質問だぞ、それ。
でも、その質問はこのクラスにいる全員が疑問に思うだろ。
学年次席とも言われているあの瑞希がなんでこんな最下層に位置するFクラスにいるわけがない。
瑞「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして…」
なるほどな。
そういえば、試験中に退席すると無得点扱いになるんだったな。
そんな瑞希の言い分を聞き、クラスの中でちらほらと言い訳の声が上がる。
『そう言えば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』
『ああ。化学だろ?アレは難しかったな』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いて実力を出し切れなくなくて』
『黙れ一人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』
『今年一番の大嘘をありがとう』
これは想像以上にバカだらけだ。
瑞「で、ではっ、一年間よろしくお願いします」
そんな中、逃げるように空いている席に座ると、隣の席に吉井と坂本と話し掛けてきた。
なんかニコニコしながら話してるなら大丈夫かって、アレ?吉井が声を殺してさめざめと泣きはじめた。
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